お金に興味を持ってくると「株式投資」を始めてみようと思う人は少なくないと思います。
投資について調べていると、「投資をしないなんて損してる」、「今どき投資もしていないなんて」といった肯定的な意見から、「投資はギャンブルと同じ」、「最後は損をして終わる」といったの否定的な意見などいろいろな情報が目に止まると思います。
正直、投資初心者だと何を信じていいのか分かりませんよね。
今回は、投資が必要な理由と投資のメリット、デメリットについて紹介しようと思います。
株式投資が必要な理由とは?
投資が必要な最大の理由は、「インフレ対策」です。
インフレとは、「インフレーション」の略称で、物の値段が上がり、お金の価値が下がり続けることを意味しています。
そして、日本の中央銀行である日本銀行は、「インフレ目標を毎年2%」としています。
つまり、「毎年、物の値段が2%ずつ上がり、お金の価値がその分下がっている」ということになります。
インフレには、どのように対策すればいいのか。誰もが一番に思いつくのは、「収入を上げること」ではないでしょうか。
物の値段が2%上がっても、それ以上に収入が増えれば問題はありません。
しかし、残念なことに約30年間、日本人の平均給与は上がるどころか減少傾向にあります。
次のグラフは、過去30年間の日本人の平均給与の推移を表しています。
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引用:厚生労働省
日本人の平均給与は、1990年台の約470万円をピークに現在では約433万円まで落ち込んでいます。
これが、「失われた30年」と言われる所以であり、この状況で、給与収入を上げるのは非常に難しいと言わざるを得ません。
このような状況であるにも関わらず、私たちが普通に生活してこれたのは、日本が長らくデフレ(インフレの対義語。正式にはデフレーションと言う。物の値段が下がり、お金の価値が上がり続ける状態のこと。)状態であったことと、企業努力によって値上げが最小限に抑えられていたためです。
しかし、近年では、世界情勢の変化による原材料の値上げ等によって、私たちの生活に影響を及ぼすほどのインフレとなっています。
次のグラフは、主要国のインフレ率を表しています。
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引用:三井住友信託銀行
上記のように、約2%で推移していたインフレ率が、新型コロナウイルスの影響で、一旦落ち込んだものの2022年頃から急激に上昇し、今では約3%となっています。
そして、欧米諸国では、日本を上回るインフレ率となっており、資源や原材料等を輸入に頼る日本は、その影響をダイレクトに受けてしまいます。
私たちの周りでも、iPhone、ガソリン、食料品等の身近なものが値上げされたのは記憶に新しいのではないでしょうか。
では、なぜ投資をすることで、このインフレに対応できるのでしょうか。
それは、投資の平均リターンがインフレ率を大きく上回っているからです。
株式投資の中でも、王道と言われるのが、指数に連動したインデックス投資です。
このインデックス投資の中でも人気と実績を兼ね備えたものが「全世界株式(オール・カントリー)」と「S&P500」となります。
これらの指数に30年間投資した場合の平均リターンが、全世界株式が約7.3%、S&P500が約9.8%で、インフレ率を大きく上回っていることが分かると思います。
このように、インフレ率を上回ることのできる資産を持つことで、貯蓄だけでは対応できないインフレに対する対策となります。
株式投資のメリット
株式投資のメリットは、上記の指数に連動したインデックス投資を選択した場合、「再現性が高く、手間がかからない」ことです。
株式市場は、過去100年以上に渡って右肩上がりで成長しており、インデックス投資とは、簡単に言えば、その成長の波に乗る投資手法です。
インデックス投資においては、金融商品を購入した後は、株式市場全体の成長に期待して保有し続けることこそが最適解とされています。
つまり、「一度買ったら、後は放置するだけ」ということです。
次のグラフは、各金融商品のトータルリターンを表しています。
出典:『株式投資の未来〜永続する会社が本当の利益をもたらす』
ジェレミー・シーゲル著(日経PB)より引用
上記のグラフは、1802年に1ドルを代表的な金融商品である、株、債権、金(ゴールド)に投資した場合、2001年にいくらになっているかを表しています。
米ドルが0.07ドルに下落しているのは、インフレが原因であり、現金で持ち続けると、200年で約10分の1以下の価値となることを示しています。
それに対して、株式はインフレに強く、約60万倍という驚異の成長率を誇り、利息によって利益を得る債権よりも長期投資での優位であると言っても過言ではないと思います。
このように、株式投資は、他の金融商品と比較しても期待できるリターンが高く、インフレ対策を兼ねた資産形成を行う上で、非常に優れた投資先と言えるのでしょう。
株式投資のデメリット
株式投資が優れた投資先であることは、過去の実績からも間違いないでしょう。
しかし、株式投資にもデメリットはあります。
それが、「元本割れする可能性があること」です。
当然のことですが、株式市場では日々売買が行われ、その結果、株価の変動が起こります。
時には、リーマンショックやコロナショックといった大暴落に見舞わられることもあります。
もし、皆さんが株式投資を始めた翌日に、この大暴落が起こってしまうとしばらくの間は損失を抱えることになるでしょう。
この下落リスクこそが、株式投資最大のデメリットであり、皆さんがなかなか株式投資に踏み出せない原因でもあります。
しかし、上記の金融商品のトータルリターンを示したグラフをもう一度見てみてください。
この200年の中には、世界大恐慌や2度の世界大戦、幾度となく訪れた金融危機を乗り越えて約60万倍というリターンをもたらしています。
世界経済が成長する限り、株式市場も同じように成長を続け、例え大暴落が起こっても、最終的には右肩上がりの成長が期待できるでしょう。
私たちが生活する上で、インフレ対策は必須です。
そして、インフレ対策に最適な行動こそ株式投資です。
株式市場には、「過去の大暴落を幾度も乗り越えて、右肩上がりで成長してきた」という実績があります。
目先の下落リスクは、この莫大なリターンをもたらす市場への参加費と割り切って株式投資を始めてみてはいかがでしょうか。
あとがき
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」ということわざがあります。
危険を冒さなければ、大きな成功は得られないという意味です。
株式投資も、このことわざと同じように、大きなリターンを得るためにはリスクを受け入れて、一歩踏み出す勇気が必要となります。
しかし、投資の世界は、「必ず勝てる」という保証もなければ、全ての結果に対する責任は自分で負わなければらない厳しい世界でもあります。
私が、投資を続けていて思うことは、「リスク許容度には個人差がある」ということです。
幸いなことにことに近年では、インターネット証券の発達により、少額からの投資が可能となっています。
例え、100円や1000円の投資であっても「投資をしている人」と「投資をしていない人」との間では、明確な格差が生まれます。
現在貯蓄している額の1割でもいいので投資に振り向けてみてはどうでしょうか。
過去はあくまでも過去であり、「株式市場が今後も右肩上がりで成長を続け、必ず良い結果になる」とは言い切れませんが、株式市場の過去の実績は、皆さんの大切な資産の一部を託すに足りる信頼があると言えるでしょう。
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