いざ、「投資を始めよう!」と思っても何から始めればいいか分かりませんよね。
今回は、あなたが投資を始めるにあたって知っておくべきことについてお話しします。
投資と投機の違い
投資という言葉はよく耳にすると思いますが、「投機」という言葉は聞き馴染みがないかと思います。
「投資」は、長期での資産形成を目的として、長期的にコツコツと利益を重ねて資産の増加を目指します。インデックス投資や配当、優待目的の長期保有はこの投資に該当します。
反対に「投機」は、相場の変動を利用して短期で利益を得ることを目的として行われます。デイトレードなどがこの投機に該当します。
投機を行う場合、短期間で利益を得られる可能性がある反面、損失を被る可能性も長期投資に比べて高くなります。
また、株式のデイトレードで例えると、会社の決算情報の確認、各チャートの分析等、利益を得るための多大な努力が必要となります。
「会社員が片手間でデイトレードを行なって、長期的に安定した利益を上げ続けるのは難しい」と言われる理由はこうした背景があるためです。
投資手法
投資手法は、大きく分けて2種類あります。
それが、「インデックス投資」と「アクティブ投資」です。
インデックス投資とは?
インデックス投資とは、特定の株価指数に連動した運用成績を目指す投資法となります。
株価指数とは、取引所全体や特定の銘柄群の株価の動きを表すのもで、この株価指数に連動した金融商品は、簡単に言うと「株の詰め合わせパック」となります。
インデックス投資は、「将来的に成長が見込まれる株価指数に投資すること」が大前提となります。
そのため、インデックス投資を行う場合、最初の株価指数の選定は、しっかりと考えて行うようにしましょう。
アクティブ投資とは?
アクティブ投資とは、目安となる株価指数を上回る成績を目指す運用のことです。
つまり、上記のインデックス投資よりも利益を出すことを目標としています。
アクティブ投資を行うには、「自分で個別株を選定して売買する」ことが一般的ですが、投資信託の中にもアクティブ投資を行なっているものもあります。
ただし、アクティブ投資は、知識や経験、適切な売買判断等が求められます。
また、投資信託であれば、インデックス投資よりも手数料が高くなってしまします。
アクティブ投資は、大きな利益が得られる可能性がある魅力的な投資手法ですが、約9割前後のアクティブファンドはインデックスファンドに負けているというのが実情です。
アクティブ投資を行うのであれば、この点を踏まえた上で、インデックス投資よりも、より慎重に購入する金融商品の選定をする必要があると言えるでしょう。
投資は、余剰資金で
「投資は、余剰資金で」という言葉を聞いたことがないでしょうか。
投資について、調べていると必ず目にするかと思います。
なぜ、皆が「投資は、余剰資金で」と口うるさく言うのかというと、「株価には、必ず下落局面があるから」です。運が悪ければ、暴落に巻き込まれることもあるでしょう。
株の世界は、資金力の世界です。
同じ10%の値上がりでも、1万円の投資なら1000円の利益、100万円の投資なら10万円の利益、1億円の投資なら1000万円の利益となり、投資資金が多ければ多いほど株価上昇の恩恵を受けることができます。
この時、ほとんどの人が陥ってしまうのが「1円でも多く投資しよう」という考え方です。
しかし、値上がりすることがあれば、値下がりすることもあるのが株価です。
多くの資金を投入すれば、その分値下がり時の損失も大きくなってしまうことは、忘れてはいけません。
人間は欲深い生き物です。多くの人は、値下がり時のリスクがあることを理解しながらも、自分が許容できる損失以上の投資をしてしいます。
暴落が起これば、株価が半値になることも珍しくありません。投資を行う際は、自分が投資している資金が、「最悪半値になっても大丈夫」と思える範囲で行うべきでしょう。
「余剰資金」とは、その名の通り、「余っているお金」です。
銀行に預けているお金=余剰資金ではありません。生活費や数年以内に使う予定のあるお金、もしもの時に備えた貯蓄、これらを除いたものが「余剰資金」です。
無理な投資は、暴落時の狼狽売り(株価下落に耐えられなくて売ること)に繋がります。
投資を行う際は、自分自身の「余剰資金」と「耐えられるリスク」はしっかりと考えましょう。
証券会社はどこにするべきか
投資を考えた際に、証券会社で迷う人も多いかと思います。
証券会社の種類は、大きく分けて、「ネット証券」と「対面証券」の2種類あります。
ネット証券とは?
ネット証券とは、インターネット上で取引を行う証券会社のことで、「SBI証券」や「楽天証券」といった証券会社が該当します。
ネット証券のメリットは、とにかく手数料が安いことです。
通常、証券会社を通じて株式や投資信託を売買する際は、手数料がかかります。
しかし、ネット証券であれば、対面証券に比べて圧倒的に手数料が安く、手数料が無料である場合も多いです。
これは、次で説明する対面証券と比べて、取引全てが、インターネット上で完結していることから、実店舗を持たない、窓口対応の人件費が不要といったコストカットができているから実現できている物であり、対面証券がネット証券と同等の手数料水準にすることは、まず不可能でしょう。
また、各種手続きがスムーズに行えるのもネット証券のメリットとなります。
売買に限っても、リアルタイムの情報が反映されるので、対面証券よりもスムーズに取引できることもネット証券の魅力の一つと言えるでしょう。
ネット証券にもデメリットはあります。
それは、全て自分で行わなければいけないということです。
株式や投資信託を購入する際、「購入する銘柄の選定」、「購入する数量」、「購入手続き」等を自分ひとりで行う必要があります。
また、誤発注などを行なってしまった際も、その責任は、全て自分自身となってしまします。
対面証券とは?
対面証券とは、実際に店舗に赴いて、窓口で証券会社の人とやり取りをしながら取引を行う証券会社のことで、「野村証券」や「大和証券」といった証券会社が該当します。
対面証券のメリットは、証券会社の担当者から様々なサポートが受けられることです。
投資商品の説明から提案、発注業務まで行なってもらえます。
対面証券のデメリットは、ネット証券に比べて手数料が高いことです。
対面証券は、店舗の維持費、人件費等のコストがかかってしまうため、ネット証券に比べて手数料が高くなってしまいます。
購入金額等にもよりますが、ネット証券であれば、無料〜数百円で済むものが、対面証券では、数千円かかってしまいます。
このコストの差が、投資で利益を出す上で大きな負担となってしまします。
また、注文から約定(株等の購入)まで時間がかかるのもデメリットと言えます。
株価は、一瞬一瞬変化しており、注文は、1秒の間に何百何千と処理されています。
対面証券では、こうしたリアルタイムでの取引は難しく、自分が考えていた価格で購入できない、意図していた価格より高値で購入してしまうといった不都合が生じる可能性があります。
どちらを選択するか
基本的には、ネット証券を選択するべきでしょう。
様々なメリット、デメリットがありますが、対面証券の手数料の高さは投資を行う上で、負担が大きすぎるのが理由です。
また、証券会社が営利企業である以上、営業マンが売りたい商品は、手数料の高い商品です。
ネット証券が分からないからという理由で窓口に行っても手数料の高い商品を買わされるのがオチでしょう。
まずは、NISAを活用
現行NISA
NISAとは、正式名称を「少額投資非課税制度」といい、投資で得た利益が非課税になるという制度です。
通常であれば、株式投資で利益を得た際に約20%の税金が引かれてしまいます。
NISA口座は、一人ひとつしか持つことができず、証券会社で口座を開設する際に、同時に開設することができます。
NISAには、「一般NISA」と「つみたてNISA」の2種類があり、この二つは併用することができません。
「一般NISA」は年間投資額120万円で非課税運用期間5年、「つみたてNISA」は年間投資額40万円で非課税運用期間20年といった特徴があります。
なお、このNISA制度は、2024年に制度が大きく改定されるため、上記のNISA制度で投資を行えるのは、2023年までとなります。
すでに投資していたものについては、引き続き上記の運用期間が終了するまで保有することができます。
新NISA
2024年から運用が開始されるNISA制度のことを、通称「新NISA」と呼びます。
こちらは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」に分かれており、それぞれの上限投資枠が、つみたて投資枠1800万円、成長投資枠1200万円で合計で1800万円まで投資可能な制度となっています。
つまり、成長投資枠で1200万円の投資を行なった場合、つみたて投資枠で投資できるのは600万円までということになります。
こちらも上記の現行NISAと同じで、投資金額に対する利益が非課税となります。
これから投資を始められる方は、まずはNISAを活用して投資を行うのがいいでしょう。
ドルコスト平均法がおすすめされる理由
ドルコスト平均法とは、金融商品を購入する際に、一度に購入せず、資金を分割して均等額ずつ定期的に継続して積立投資をするをいいます。
例えば、120万円の投資資金があった場合、一度に120万円分購入するのではなく、毎月10万円づつ購入するということです。
この方法で投資を行うことによって、一度に購入した場合と比べて値動きの変動幅が緩やかになります。
引用:楽天証券
上記のグラフは、S&P500指数の2022年〜2023年のチャートとなります。
2022年の年初から年末にかけて約20%程度下落しているのが分かるかと思います。
もしも、120万円を2022年の年初に一度に投資していた場合、単純計算で、年末には約96万円まで資産が減っていたことになります。
この時、ドルコスト平均法で投資を行なっていれば、下落しながら購入することができるので、一度に投資した場合と比べて、取得単価を安くできるので、値動きの変動幅を緩やかにすることができます。
このため、特に株価の値動きに慣れていない初心者が投資を始める際に、おすすめされるのがドルコスト平均法となります。
注意点
各所でおすすめされるドルコスト平均法ですが、デメリットもあります。
それは、過去の統計上、「一括投資の方が利益を出せる」という点です。
これは、基本的に「右肩上がりで成長をするものに投資をする」という前提がある以上、資金をより長く市場に晒したほど、複利の効果が得られるためです。
上記の2022年のようにドルコスト平均法のメリットが生かされるケースもありますが、多くの場合、一括投資の方が有利であるということは知っておきましょう。
ただし、上記のデメリットを踏まえた上でも初心者はドルコスト平均法での投資を行うのがいいでしょう。
一括投資に切り替えるのは、株価の値動きに慣れてからでも遅くはありません。
投資目標を決める
投資を行う上で、投資目標はしっかりと決めておきましょう。
投資目標によって、入金額、必要利回り、投資期間が変わってきます。
例えば、「老後に備えて定年までに2000万円を貯めること」が目標であれば、全世界株式等の比較的安定した利回りを出せる投資信託に投資をするのがいいでしょう。
しかし、「40歳で早期退職したいので、5000万円貯める」、「独立のために5年間で2000万円貯める」等の目標であれば、必要な入金額や利回りが変わってきます。
投資を始める前に、自分の投資目標をしっかりと考えてみてください。
あとがき
「ゆっくり金持ちになりたい人はいないよ」
ウォーレン・バフェット
約13兆円もの資産を持ち、「投資の神様」と言われるウォーレン・バフェット氏。
その資産の90%は60歳以降に築かれたものだそうです。
投資のみで短期間で大きな利益を得ようとすれば、その分リスクも大きくなります。
私がおすすめしたいのは、あくまでも長期投資です。ただし、目標によって取るべき手段が変わってくるのも事実です。
もし、投資を通じて、短期間に大きな利益を得ようと考えている人がいるのであれば、しっかりとリスクを考慮した上で投資を行なってください。
自分が考えている以上に株価の値動きよる資産額の変動は激しく、自分が思っている以上に自分が受け入れられるリスク許容度は低いものです。
暴落が来ても、決して慌てることがないように常にリスクを意識して投資を行うようにしましょう。
コメント