貯蓄の王道〜先取り貯蓄とは〜

お金の基本

 社会人になって、まとまったお金が手に入るようになったが、気がつけば毎月全額使ってしまっている。将来やもしもの備えのために貯めないといけないと分かってはいるけれど、どうやって貯めたらいいのか分からない。そんな方は多いのではないでしょうか。

 そこので、重要なのが「先取り貯蓄」。毎月の給料が振り込まれた時点で、決められた額を先に貯蓄に回してしまいます。
 強制的に貯蓄に回すことによって、貯蓄に苦手意識のある方でもしっかりと貯蓄習慣を身につけることができるでしょう。

先取り貯蓄の例

貯蓄用口座

 一番始めやすく、使い勝手がいいのは貯蓄用口座を作ることでしょう。
 これは、普段あなたが使っている口座とは別の銀行口座を用意し、そこに貯蓄用のお金を入れることです。
 メリットとしては、他の貯蓄方法よりも簡単にお金の出し入れができるので、「急にお金が必要になった」という場合にすぐに引き出すことがきます。
 ただし、これは同時にデメリットでもあり、頻繁に引き出していてはいつまで経ってもお金は貯まらず、口座を分けている意味がなくなってしまいます。
 まずは、貯蓄用口座から始めてみて、上手くいかないようであれば、下記の制度を利用してみるのがいいでしょう。

定期預金

 定期預金とは、一般的に預け入れる期間をあらかじめ設定しておく預金のことを指します。
 定期預金は、満期まで出金しないことなどを条件に、預け入れるので普通預金よりも金利が高く設定されているのが特徴です。
 ただし、引き出す際は、様々な条件が設定されており、普通預金と同じ感覚で使うことはできません。
 また、普通預金よりも金利が高いとはいえ、大手ネット銀行でも約0.3%程度となっています。
 そのため、貯蓄習慣を身に付けるために活用して、その後は、他の資産運用に回すのがいいでしょう。

財形貯蓄

 財形貯蓄とは、給与からの天引きにより積立を行う制度で、目的を問わない「一般財形貯蓄」と老後の年金のための「財形年金貯蓄」があります。
 貯蓄習慣を身に付けるための利用であれば、「一般財形貯蓄」を選択するのがいいでしょう。
 定期預金と違い、口座開設等の手間がかからず、申し込みさえしてしまえば、給与から自動的に天引きされるため、面倒なことが嫌いという方におすすめです。
 ただし、こちらも利回りは低く、インフレに耐えられるような制度とはなっていません。
 そのため、定期預金と同様にあくまでも「貯蓄習慣を身に付けるための制度」として活用するのがいいでしょう。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

 iDeCoとは、私的年金のことであり、自分が拠出した掛金を、自分が選んだ方法で運用します。
 iDeCoは、「運用益が非課税」「掛金が全額所得控除」「受け取り時に税制優遇される」などのメリットありますが、原則60歳になるまで引き出すことができません。
 そのため、貯蓄と定年後の資産形成を同時にしたいという人は活用を検討してみるのがいいでしょう。

NISA制度(少額投資非課税制度)

 貯金ではありませんが、投資に興味がある人はNISA制度を活用した投資を始めてみるのもいいかもしれません。
 投資は、貯蓄習慣を身につけて、ある程度の貯金がある状態で始めるのがベストですが、「そこまで待てない」というせっかちな人は、貯蓄と投資を同時に行うのもいいでしょう。
 つみたて投資枠(旧つみたてNISA)の対象商品であれば、長期積立に適した商品が厳選されているため、まずは「つみたて投資枠」を活用してみてください。
 ただし、あくまでも投資は「余剰資金」で行うものであり、「余剰資金」を作るためには、「貯蓄習慣」を身に付ける必要があります。
 NISA制度を利用して投資に慣れることはいいことですが、「貯蓄習慣」をしっかりと身につけて、資産形成の足場を固めることを忘れないようにしましょう。

あとがき

支出の額は、収入の額に達するまで膨張する

パーキンソン第二の法則:シリル・ノースコート・パーキンソン

 そもそも「なぜ貯蓄できないのか」。このような疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」、これは、パーキンソン第二の法則と言われているもので、イギリスの政治学者であるパーキンソン氏が提唱し、イギリスの行政組織を研究する中で導き出されました。

 この法則は、組織だけでなく私たちの家計にも当てはめることができます。
 いまだに年功序列制度が根強く残り、なかなか給料が上がらない日本社会ではありますが、それでも毎年昇給しているでしょう。しかし、貯蓄は一向に増えない。そのような人は、まさにこのパーキンソン第二の法則が当てはまっていると言えるでしょう。

 現代社会では、至る所に私たちの物欲を掻き立てる「広告」が散りばめられています。
 電車に乗れば広告、街中を歩いていても広告、テレビをつけても広告、携帯を開けば広告。私たちが広告を全く見ることなく1日を過ごすことは難しいでしょう。
 そして、この広告につられて「無駄な支出」をしてしまっているのが、私たちです。
 この「無駄な支出」こそが、貯蓄を難しくしている最大の原因です。
 人間の「欲」には、限界がありません。「無駄な支出している」ことを認識できなければ、際限なくモノを欲してしまうのが、私たち人間の本能です。
 無駄な支出をしないためにも、あらかじめ決めた額を貯蓄に回す「先取り貯蓄」は有効な手段と言えるのではないでしょうか。

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