投資と一緒に語られることの多い「節約」ですが、それはなぜなのでしょうか。
答えは単純で、貯蓄を増やす上で、簡単に実践できて効果が大きいからです。
投資を行うには、貯蓄が必要。そして、貯蓄を増やすためには、収入を上げるか支出を減らすしかありません。
「収入ー支出=貯蓄」この単純な方程式こそが、貯蓄の全てです。
多くの人は、貯蓄を増やすために収入を上げようと努力します。昇進を目指す、資格取得を試みる、副業を行う等々。当然、これらの努力も大切であり、将来的には自分のためになることは間違いないでしょう。ただし、その効果が現れるまでにはそれ相応の努力と時間が必要となります。
それに比べて、支出を減らすことによる効果が現れるのは早く、貯蓄という形で目に見えます。
そして何よりも同じ金額であれば、節約して得たお金には税金がかからない分、収入を増やして得たお金よりも節約して得たお金の方が手元に残る金額は多くなります。
つまり、同じ金額であれば「節約の方が効果が大きい」ということになります。
では、どのような節約をするのが効果的なのか。見直すことで効果の大きい支出についてみていきましょう。
保険
もし、今自分が入っている保険について、月々の支払額や保証内容について全く説明できないのであれば、その保険は不要です。今すぐに解約してください。
保険とは本来、「起こる可能性は限りなく低いが、起こってしまった際に自分では対処できないこと」に対して備えるべきものです。
入る価値のある保険は、次の2つくらいでしょう。
自動車保険
自動車保険は、車を乗るのであれば加入は必須と言えます。
車を乗る上で、どんなに気をつけていても事故の可能性はゼロにはなりません。そして、もし死亡事故を起こしてしまった場合、賠償金が億を超えることも珍しくはないでしょう。
そのため、任意保険での対人対物無制限の保証は必要な保険と言えます。
ただし、必要なのは対人対物無制限のみです。車両保険やその他の特約などは基本的には不要です。
必要な保険のみ入り、支払額は低く抑えるようにしましょう。
生命保険(掛け捨て)
もしも、「あなたの身に不幸があった際に、残された家族が生活できない」という状況になるのであれば加入するべきでしょう。
ただし、入るべきは「掛け捨て」のものです。「貯蓄型」のものは、満期で返戻金がある分保証内容が掛け捨てに比べて劣ります。
「貯蓄は貯蓄」、「保険は保険」分けて考えましょう。
「貯蓄型保険」なんてものは、どちらにもなり得ない中途半端なものです。入る必要はないでしょう。
このように、起こる可能性は限りなく低いが、起こってしまった際に自分では対処できないことに備えるのが保険の役目です。
よく、「不安だから」という理由で必要以上の保険に入っている方がいますが、保険で保障されているのは、あくまでも「お金」です。そのお金で治療は受けることはできるでしょうが、怪我や病気の「完治」は保障されていません。
「怪我をしたら○万円」、「病気で入院したら1日あたり○万円」、よくある傷病保険の内容ですが、こんなものはただのギャンブルです。毎月保険代という掛け金を支払い、自分や家族が怪我や病気になる方に賭けるだけの「不幸のギャンブル」です。
幸いなことに日本という国は、公的保険が非常に充実しています。
特に「高額療養費制度」を利用すれば、多くの方はひと月当たりの医療は最大でも約8万円程度となります。小さい金額ではありませんが、貯蓄があれば対応できる金額です。
このような自分で対応できるものに、わざわざ多額の保険代を支払い備える必要はないでしょう。
通信費
主に携帯電話の利用料金は、見直すべき支出の一つとなります。
3大キャリアと呼ばれる、ドコモ、au、ソフトバンクの料金プランが約7000円〜8000円程度です。
格安SIMに変更すれば、月々の支払いを3000円以下に抑えることができ、中には、1000円以下で利用できるものもあります。
通信品質についても、基本的には3大キャリアの通信回線を利用しているため特に問題はありません。
それでも心配という方は、3大キャリアが提供している格安プラン(ahamo、povo、LINEMO)へ変更してみるのがいいでしょう。いずれも約3000円程度で利用することができます。
携帯料金の見直しを行えば、毎月の支出を約5000円程度は減らすことができるでしょう。
そして一度手続きをしてしまえば、この効果はずっと続きます。つまり、携帯料金の見直しを行うだけで、月々約5000円、年間約6万円も自由に使えるお金が増えるということになります。
食費
食費で見直すべきポイントは二つです。一つは無駄な外食を減らして自炊を行うこと。もう一つはコンビニに行かないこと。
決して、食事を取らない等の極端な節約は行わないでください。私生活も仕事も体が資本です。栄養失調等で病気になってしまっては元も子もありません。
無駄な外食を減らして自炊を行う
外食で普通の食事を取ろうと思うと、一食800円〜1000円はかかってしまいますが、自炊であれば300円程度には抑えることができます。
レシピもインターネットで調べれば様々なものが検索にヒットし、中には動画で1から作り方を説明してくれているものもあります。
自炊を行う上で、無理にこだわる必要はありません。お米を炊いて、肉と野菜を切って炒める。これだけでも立派な自炊です。
週末に一週間分作って冷凍し、毎日同じものを食べてもいいでしょう。味気ないと感じるかもしれませんが、毎日仕事に時間を費やしている以上、これくらいの割り切りと工夫をしてもいいのではないでしょうか。
それに日々の食事が質素であれば、たまの外食がとても美味しく感じることがで来ますからね。
コンビニに行かない
お金を貯めたいのであれば、コンビニに行くのはやめましょう。
スーパーを利用すれば分かりますが、コンビニの商品はあまりにも高すぎます。
ジュース1本買うにしても、コンビニで180円程度のものがスーパーなら100円以下で買えることも珍しくありません。
また、コンビニは商品陳列についても購買意欲をそそる配置がされており、「ついでにこれも」とカゴに入れているうちに気づけば会計が1000円を超えていた、という経験をされた方も多いのではないでしょうか。
そのため、お金を貯めたいのであれば、コンビニに行くのはやめた方がいいでしょう。
家賃
多くの人にとって、毎月の支出の大半を占めるのが家賃となります。
一般的には、手取り収入の3割が目安とされており、20万円の手取り収入であれば、約6〜7万円が平均的な家賃支出となります。
家賃は、支出において一番占める割合の多い項目のため、本当は一番最初に見直したい項目ではあります。
しかし、首都圏に住むのか、地方に住むのか、会社からの距離など人によって条件が違い、見直すのが難しいのも事実です。
ただし、支出額が多い分、見直した際の効果も大きいので、自分自身にあった条件で、可能な限り見直してみるのがいいでしょう。
また、社宅や実家住まいが可能であれば、大きく家賃を削減できるので、貯蓄をしたいのであれば積極的に活用するべきでしょう。
車
車を所有することで発生する維持費は、年間で約13万円となります。
この内訳には、車両代や保険料、税金は含まれておらず、ローンで購入していたり、所有している車両の種類によっては多額の税金を支払うこととなり、実質の負担額はさらに多くなります。
そのため、車を手放すことができれば相当の節約効果が期待できます。
ただし、住んでいる地域によっては車が必須アイテムなのも事実です。
バイクを利用する、公共交通機関で生活できるか検討する、排気量の大きい車から軽四自動車に乗り換える等、他の移動手段や維持費を減らす方法は様々です。
もし、見栄や周囲に流されて購入しただけの車であれば、思い切って手放してしまうのがいいでしょう。毎月の負担が減り、負担が減った分はあなたが自由に使えるお金となります。
自身の生活状況を考えて、一度車の所有について検討してみるのがいいでしょう。
月額定額サービス(サブスクリプション)
節約を行う上で重要なのが固定費の削減です。
そして、現代において多くの方は、何かしらの月額定額サービス(サブスクリプション)を契約している方がほとんどでしょう。
中には、複数のサブスクを契約している方もいると思います。
一つ一つは、安価で使いやすいサブスクですが、「塵も積もれば山となる」の諺のように気付けば1万円以上の出費となっていることも珍しくありません。
「Netflixを契約しつつ、AmazonプライムやHuluも契約している」、「Apple MusicとSpotifyを契約している」等、同じようなサービスのサブスクを複数契約している人も多いのではないでしょうか。
これらも一つ一つは、月額1000以下で利用できる「塵」かもしれませんが、複数契約すれば「山」となり、気付けば数千円〜1万円程度の出費にはなってしまうでしょう。
動画サイトや音楽以外にも、ジムや美容関係、洋服やウォーターサーバー等、サブスクの種類は豊富にあります。
一度自分が契約しているサブスクの数と、それらの利用料金を計算してみてみるべきでしょう。
そして、自分にとって本当に必要と思えるものだけを残して解約するのがいいでしょう。
サブスクは便利なサービスですが、そのサブスクのせいで生活が苦しくなっていては元も子もありません。賢くサブスクを利用して、有意義な余暇を過ごしましょう。
あとがき
「塵も積もれば山となる」、上記の項目の説明でも使用した諺ですが、多くの事柄において、「結果」とはこの塵の積み重ねであると思います。
支出においても、コンビニで買おうがスーパーで買おうが一つ一つは数十円〜数百円の違いでしかなく、サブスクでさえ数千円、家賃や車の維持費を削減しても月々数万円程度の削減にしかならないでしょう。
この数万円で、いきなり人生が変わるかと言われれば、まず変わらないでしょう。
しかし、支出が塵の積み重ねであるように、貯蓄もまた塵の積み重ねです。
使いきれないような多額のお金を持ち、「資産家」と言われる人たちも、皆最初は資産ゼロからのスタートです。
皆さんの貯蓄のゴールをどこにするかは、皆さん次第です。しかし、「貯蓄」という「結果」を得るためには「塵」を積み重ねていくしかありません。
投資を始めるにしろ、ギャンブルで一攫千金を狙うにしろ、「貯蓄」というまとまったお金がなければ、勝負のテーブルに座ることすら許されません。
皆さんの今後の人生を豊かにするためにも、まずは目の前の「塵」を積み重ねてみてはどうでしょうか。
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